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テレポーター
先日は私の気まぐれで行ったアンケートにご協力頂き、ありがとうございました。魔法世界エルトクリアが大好きな皆様へ、わたくしめからのちょっとした気持ちです。
次章『修学旅行編(仮)』のさわりの一場面をちょこっとだけ先行公開させて頂きます。
但し、読むにあたり、恐れ入りますが注意事項を。
1.推敲などまったくしていないので誤字脱字がたくさんあるかもしれない。
2.あくまで(仮)のため、実際に公開された時は内容が変わっているかもしれない。
3.あくまで(仮)のため、実際に公開された時は章自体のテーマが変わってるかもしれない。
4.本編再開の目処がはっきりしていないので、本公開されるのが半年後とかもあり得るかもしれない。
以上の注意事項を踏まえた上で、「(仮)でもいいし公開されるのが1000年後だって構わない次章がどんな感じに進んでいくのかとにかく知りたいんだこのやろうさっさと読ませてくれい!」と思ってくださる方は、先へお進みください。
なお、このページがブログ《更新情報》に出ていないのと、本文でルビが正常に機能していないは仕様です。ご了承ください。
『テレポーター』 第9章 修学旅行編〈上〉 第?話 依頼 (仮)
☆
「護衛の依頼だ。君の師匠には既に話をつけてあるが、もちろん拒否してもらっても構わない」
窓から差し込む夕陽を背に、重厚なデスクに坐すのは日本五大名家が一、花園家現当主の|花園《はなぞの》|剛《ごう》。身分的に天と地ほども差のあるその人は、自らの書斎に俺を招き入れるなりそう言った。
護衛。
どう考えてみても、俺の実力に見合った仕事とは思えない。
苦い記憶が蘇る。
この学園にやってきて、早々に巻き込まれた可憐の誘拐騒動の記憶だ。
確かに、あの時に比べれば俺は格段に強くなっただろう。これは断言できる。色々な経験を積んできたし、危ない橋だっていくつか渡っている。同じような事件が起きれば、あの時のようにはならないのは間違いない。
しかし……。
「まあ、まずは話を聞いてもらいたい。先にこちらを伝えておくべきか」
俺の否定的な雰囲気を敢えて無視しているのか、剛さんは手元の資料を数枚捲りながら続ける。
「|青藍《せいらん》魔法学園2年生の修学旅行先が決定した。魔法世界だ」
……。
「は?」
内容を理解するのに数秒を要してしまった。思わず間の抜けた声が漏れた俺を見て、剛さんが苦笑する。
「君の考えは理解できるぞ、|聖夜《せいや》君。正直、先方が良く許可したものだと俺も感心してしまったよ」
「しかし、本当に許可が下りたようだ」と剛さんは言った。
「……魔法世界側に打診している状態だったから、修学旅行先が未定のままだったのですね」
出発まであと一週間しかない。もともと行き先は海外のどこかとだけ使えられていたため、皆パスポートだけは準備していた。ただ、それ以上の情報が一向に入ってこなかったため、何か問題でも生じているのかと心配していたほどだ。
「そんなところだ。|姫百合《ひめゆり》の方がうまくやったらしいがな。週明けの明日にでもこの情報は学園生に公開されるだろう」
「なるほど」
剛さんの言う護衛の依頼。
つまり、魔法世界での修学旅行中に|舞《まい》を守れということだろう。
俺の中で結論が出る。
この依頼は受けるべきではない。
確かに俺は強くなった。
あの時よりも格段に。
身体強化魔法や全身強化魔法といった強化系魔法だけではなく、魔力そのものを武器として扱う“|不可視《インビジブル》シリーズ”に『独自詠唱』によって俺では実現不可能な魔法発現を可能とする|MC《ウリウム》、そして奥の手である無系統魔法。しかし、これだけの手札を用意したって勝てない相手はいる。
俺に圧倒的に不足しているもの。それは経験だ。
魔法は扱う人間の技量によっていくらでも応用が利く。
しかも、今回の依頼は前回と明確に違うところがある。
学園の庇護下に無い。更に言うなら、日本国外での任務だということだ。
当然、この学園のような結界は無い。魔法世界にも防護結界はあるが、「関係者以外立ち入り禁止」にできるこの学園ほど出入りする人間を制限できるわけではないし、実際にあの犯罪集団『ユグドラシル』の面々が中にいたことも事実。
舞はこの国の最高戦力『|五光《ごこう》』の血を継ぐ、正当な後継者だ。それも次期当主候補序列1位。本来なら俺のような人間が気安く話しかけられるような存在ではないのだ。国外をまともな護衛無しでうろつこうものなら、路地裏どころか白昼堂々大通りで誘拐騒ぎに発展してもおかしくはない。
自分の命1つ懸けることすら危うい立場にいる俺が、他人の命を預かれるはずがない。
「既に想像はついているだろうが、依頼について説明しよう。君には修学旅行中の護衛を頼みたい。但し、護衛対象者は舞だけではない」
……なんだって?
俺が聞き返すより早く、書斎の扉がノックされた。
やって来たメイドは丁寧に一礼した後に、剛さんへこう告げる。
「|姫百合《ひめゆり》|美麗《みれい》様がお出でになりました」
……。
護衛?
対象は舞だけではない?
無理に決まってんだろ。
そんな俺の心情を余所に、メイドが扉の前から一歩引いた。
扉の外で待っているであろう客人を中へと促すわけでもなく、道を譲るようなわけでもない。
単純にただ一歩、扉から遠ざかるためだけに動いたような。
その仕草に僅かながらの違和感を覚える。
瞬間。
開かれた扉の外。
死角となっていた場所から、突如としてこちらへと突っ込んでくる影を捉えた。
――――"|神の書き換え作業術《リライト》"、発現。
突き込まれた手刀が俺の残像を容赦なく貫くのを眺めながら、乱入者の脚を払う。この女、しっかりと身体強化魔法まで使ってやがる。無防備なまま喰らっていれば俺の喉に風穴が空いているところだぞ。
座標の書き換え先は、先ほどまで俺が立っていた位置からほとんど変わっていない。
すぐ隣だ。
高速での移動中に掛けられた足払いは予想外の反撃だったのだろう。女の顔に驚愕の色が張り付いている。バランスを崩した上半身が前のめりに倒れ込み――。
歪む、女の口角。
振り上げられた女の右脚を一歩後退することで回避する。女はそのまま両手を床につけ、両足を広げて独楽のように回転し出した。おかげでスカートの中の純白が全開である。
少しは羞恥心を持て。
こちらを傍観するだけの剛さんも苦笑いだ。
遠心力が弱まり脚を床につけようとするタイミングを狙って、威力を絞った"|不可視の弾丸《インビジブル・バレット》"を撃ち込んだ。思いの外可愛らしい悲鳴と共に、女の身体が転倒する。
女が身体を起こすよりも、俺の人差し指が女の額を小突く方が早かった。
「そこまでだ」
俺の一言に女の身体が硬直する。女の頭から|カチューシャ《、、、、、、》がずれ落ちた。
「まだやるって言うなら相手になってやらんでもないが、場所は変えたい。ここが『五光』が一、花園家現当主の書斎だと分かった上での行動なんだろうな?」
問答無用で場所を変えさせても良いが、肝心の剛さんがあの調子だと暗殺者の類では無さそうだ。となると、先ほど名の挙がっていたあの人の差し金だろう。
「これは何の真似ですか、美麗さん」
「あらあら、全部お見通しということなのかしら」
視線の先、ゆっくりと剛さんの書斎に姿を見せたのは|姫百合《ひめゆり》|美麗《みれい》。日本五大名家『五光』に名を連ね、世界から『氷の女王』として絶賛される大魔法使いだ。
少しも悪びれた様子を見せない美麗さんは、微笑みを携えたまま転がったメイドへと視線を向けた。
「随分と鮮やかに仕留められてしまいましたね。|理緒《りお》さん」
「申し訳ありません。正直、ここまで鮮やかに無力化されるのは予想外でした」
素早い身のこなしで立ち上がったメイドが言う。そして正面から俺と向き合った。
「|大橋《おおはし》|理緒《りお》と申します。突然の無礼をお許しください」
メイドが一礼する。
ん?
この人、どこかで……。
《つづく……、きっと》
次章『修学旅行編(仮)』のさわりの一場面をちょこっとだけ先行公開させて頂きます。
但し、読むにあたり、恐れ入りますが注意事項を。
1.推敲などまったくしていないので誤字脱字がたくさんあるかもしれない。
2.あくまで(仮)のため、実際に公開された時は内容が変わっているかもしれない。
3.あくまで(仮)のため、実際に公開された時は章自体のテーマが変わってるかもしれない。
4.本編再開の目処がはっきりしていないので、本公開されるのが半年後とかもあり得るかもしれない。
以上の注意事項を踏まえた上で、「(仮)でもいいし公開されるのが1000年後だって構わない次章がどんな感じに進んでいくのかとにかく知りたいんだこのやろうさっさと読ませてくれい!」と思ってくださる方は、先へお進みください。
なお、このページがブログ《更新情報》に出ていないのと、本文でルビが正常に機能していないは仕様です。ご了承ください。
『テレポーター』 第9章 修学旅行編〈上〉 第?話 依頼 (仮)
☆
「護衛の依頼だ。君の師匠には既に話をつけてあるが、もちろん拒否してもらっても構わない」
窓から差し込む夕陽を背に、重厚なデスクに坐すのは日本五大名家が一、花園家現当主の|花園《はなぞの》|剛《ごう》。身分的に天と地ほども差のあるその人は、自らの書斎に俺を招き入れるなりそう言った。
護衛。
どう考えてみても、俺の実力に見合った仕事とは思えない。
苦い記憶が蘇る。
この学園にやってきて、早々に巻き込まれた可憐の誘拐騒動の記憶だ。
確かに、あの時に比べれば俺は格段に強くなっただろう。これは断言できる。色々な経験を積んできたし、危ない橋だっていくつか渡っている。同じような事件が起きれば、あの時のようにはならないのは間違いない。
しかし……。
「まあ、まずは話を聞いてもらいたい。先にこちらを伝えておくべきか」
俺の否定的な雰囲気を敢えて無視しているのか、剛さんは手元の資料を数枚捲りながら続ける。
「|青藍《せいらん》魔法学園2年生の修学旅行先が決定した。魔法世界だ」
……。
「は?」
内容を理解するのに数秒を要してしまった。思わず間の抜けた声が漏れた俺を見て、剛さんが苦笑する。
「君の考えは理解できるぞ、|聖夜《せいや》君。正直、先方が良く許可したものだと俺も感心してしまったよ」
「しかし、本当に許可が下りたようだ」と剛さんは言った。
「……魔法世界側に打診している状態だったから、修学旅行先が未定のままだったのですね」
出発まであと一週間しかない。もともと行き先は海外のどこかとだけ使えられていたため、皆パスポートだけは準備していた。ただ、それ以上の情報が一向に入ってこなかったため、何か問題でも生じているのかと心配していたほどだ。
「そんなところだ。|姫百合《ひめゆり》の方がうまくやったらしいがな。週明けの明日にでもこの情報は学園生に公開されるだろう」
「なるほど」
剛さんの言う護衛の依頼。
つまり、魔法世界での修学旅行中に|舞《まい》を守れということだろう。
俺の中で結論が出る。
この依頼は受けるべきではない。
確かに俺は強くなった。
あの時よりも格段に。
身体強化魔法や全身強化魔法といった強化系魔法だけではなく、魔力そのものを武器として扱う“|不可視《インビジブル》シリーズ”に『独自詠唱』によって俺では実現不可能な魔法発現を可能とする|MC《ウリウム》、そして奥の手である無系統魔法。しかし、これだけの手札を用意したって勝てない相手はいる。
俺に圧倒的に不足しているもの。それは経験だ。
魔法は扱う人間の技量によっていくらでも応用が利く。
しかも、今回の依頼は前回と明確に違うところがある。
学園の庇護下に無い。更に言うなら、日本国外での任務だということだ。
当然、この学園のような結界は無い。魔法世界にも防護結界はあるが、「関係者以外立ち入り禁止」にできるこの学園ほど出入りする人間を制限できるわけではないし、実際にあの犯罪集団『ユグドラシル』の面々が中にいたことも事実。
舞はこの国の最高戦力『|五光《ごこう》』の血を継ぐ、正当な後継者だ。それも次期当主候補序列1位。本来なら俺のような人間が気安く話しかけられるような存在ではないのだ。国外をまともな護衛無しでうろつこうものなら、路地裏どころか白昼堂々大通りで誘拐騒ぎに発展してもおかしくはない。
自分の命1つ懸けることすら危うい立場にいる俺が、他人の命を預かれるはずがない。
「既に想像はついているだろうが、依頼について説明しよう。君には修学旅行中の護衛を頼みたい。但し、護衛対象者は舞だけではない」
……なんだって?
俺が聞き返すより早く、書斎の扉がノックされた。
やって来たメイドは丁寧に一礼した後に、剛さんへこう告げる。
「|姫百合《ひめゆり》|美麗《みれい》様がお出でになりました」
……。
護衛?
対象は舞だけではない?
無理に決まってんだろ。
そんな俺の心情を余所に、メイドが扉の前から一歩引いた。
扉の外で待っているであろう客人を中へと促すわけでもなく、道を譲るようなわけでもない。
単純にただ一歩、扉から遠ざかるためだけに動いたような。
その仕草に僅かながらの違和感を覚える。
瞬間。
開かれた扉の外。
死角となっていた場所から、突如としてこちらへと突っ込んでくる影を捉えた。
――――"|神の書き換え作業術《リライト》"、発現。
突き込まれた手刀が俺の残像を容赦なく貫くのを眺めながら、乱入者の脚を払う。この女、しっかりと身体強化魔法まで使ってやがる。無防備なまま喰らっていれば俺の喉に風穴が空いているところだぞ。
座標の書き換え先は、先ほどまで俺が立っていた位置からほとんど変わっていない。
すぐ隣だ。
高速での移動中に掛けられた足払いは予想外の反撃だったのだろう。女の顔に驚愕の色が張り付いている。バランスを崩した上半身が前のめりに倒れ込み――。
歪む、女の口角。
振り上げられた女の右脚を一歩後退することで回避する。女はそのまま両手を床につけ、両足を広げて独楽のように回転し出した。おかげでスカートの中の純白が全開である。
少しは羞恥心を持て。
こちらを傍観するだけの剛さんも苦笑いだ。
遠心力が弱まり脚を床につけようとするタイミングを狙って、威力を絞った"|不可視の弾丸《インビジブル・バレット》"を撃ち込んだ。思いの外可愛らしい悲鳴と共に、女の身体が転倒する。
女が身体を起こすよりも、俺の人差し指が女の額を小突く方が早かった。
「そこまでだ」
俺の一言に女の身体が硬直する。女の頭から|カチューシャ《、、、、、、》がずれ落ちた。
「まだやるって言うなら相手になってやらんでもないが、場所は変えたい。ここが『五光』が一、花園家現当主の書斎だと分かった上での行動なんだろうな?」
問答無用で場所を変えさせても良いが、肝心の剛さんがあの調子だと暗殺者の類では無さそうだ。となると、先ほど名の挙がっていたあの人の差し金だろう。
「これは何の真似ですか、美麗さん」
「あらあら、全部お見通しということなのかしら」
視線の先、ゆっくりと剛さんの書斎に姿を見せたのは|姫百合《ひめゆり》|美麗《みれい》。日本五大名家『五光』に名を連ね、世界から『氷の女王』として絶賛される大魔法使いだ。
少しも悪びれた様子を見せない美麗さんは、微笑みを携えたまま転がったメイドへと視線を向けた。
「随分と鮮やかに仕留められてしまいましたね。|理緒《りお》さん」
「申し訳ありません。正直、ここまで鮮やかに無力化されるのは予想外でした」
素早い身のこなしで立ち上がったメイドが言う。そして正面から俺と向き合った。
「|大橋《おおはし》|理緒《りお》と申します。突然の無礼をお許しください」
メイドが一礼する。
ん?
この人、どこかで……。
《つづく……、きっと》
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