ssでも。
テレポーター
久しく更新しなくてすみません。
最後に更新したのが4月でもう少しで半年になるとか笑うしかない。
先ほど、ふっとネタが降りてきたので20分程度で書き上げた小ネタ程度のssでも。
登場人物はまりも、ルーナ、そしておまけで聖夜です。
『「こがねいろのせんりつ」のにちじょー』ss
「まりも」
「なぁに?」
ベッドでごろごろしながらファッション雑誌を捲っていたまりもは、その手を止めてルーナへと視線を向ける。
「ひこうきってどうやってとんでるの?」
「え?」
「ひこうきって、どうやってとんでるの?」
「……ん、ん~?」
不意を突いた質問がまた来た、とまりもは思った。
リナリー・エヴァンスが長を務める『黄金色の旋律』における貴重な薬剤師であり、かつ大人びた性格をしているものの、ルーナはまだ少女だ。どんなものにでも興味を持つお年頃なのである。
いつもならリナリーや聖夜、栞、そして共に行動をしているタイミングであればヴェロニカに放り投げるところだが、生憎と今は2人っきりだ。
見ればルーナの後ろ、ホテルのテレビが映しているのは『機内のサービスについて』であり、フライトアテンダントがにこやかにインタビューを受けている。
余計なものを映しやがって、と思わなくもないまりもだったが、今はこの状況を切り抜ける方が重要だった。
まりもは飛行機がどうやって飛んでいるかなんて知らない。車だって電車だって、便利な乗り物だという認識を持ってはいるが、その構造にまで興味を持っていないからだ。
ルーナはそれはもう注意深く凝視してみれば若干というか微妙というかとにかくささやかながらきらきらした目で回答を待っている。
ここで「分からない」と素直に答えられるほど、まりもの神経も図太くなかった。
「え、え~と。ね、ねえ、ルーナちゃん。走り幅跳びって知ってる?」
「ん。スポーツ」
「そうそう。あれってなんで助走をつけるかは分かる? というか、助走って知ってる?」
「しってる。じょそうつけると、とおくへとべる」
「そうそう。飛行機も同じだよ。助走をつけてるから遠くへ飛べるんだよ~」
純度100パーセント嘘である。
当然、まりもだってこれで騙せるとは思っていない。むしろ、「そんなわけない。まりも、うそつき。しらないんだ」と冷たい言葉を投げかけられることで話を丸め込むつもりでいた。
しかし。
「じゃあ、にんげんもおなじだけじょそうをつければとべるの?」
こんな質問が返ってきてしまった。
「えっ」
「にんげんもおなじだけじょそうをつければとべるの?」
まりもは自らの完璧なる計画が脆くも崩れ去ったことを自覚した。しかし、今更「それは嘘だよ~」とは言い出せない。なぜなら、ルーナはそれはもう注意深く凝視してみれば若干というか微妙というかとにかくささやかながらきらきらした目で回答を待っているのだ。
「そ、そう、……だよ」
まりもは視線を外しながらそう答えた。
☆
「あん? なにやってんだ、ルーナ」
ホテルに戻ってきてみれば、ルーナが室内を縦横無尽に駆け回っていた。
「あ、せーや」
ててて、と寄ってくる。空調が効いているにも拘わらず、ルーナの額には汗がにじんでいた。呼吸も荒い。本当になにしてんだこいつ。
「まだ、とべない。せーやはとべる?」
跳ぶ?
「まあ、時と場合によるが、跳べるな」
座標さえ固定できれば一瞬だ。今更俺の無系統魔法がどうかしたのだろうか。
「……さすが、せーや。わたしも、がんばる」
ぐっ、と握りこぶしを作るルーナ。
「お、おう。がんばれ」
何を頑張るのかは知らんけど。
……あれ?
部屋を見渡してみてもまりもの姿が見当たらない。
再び走り出したルーナに聞いてみる。
「ルーナ。まりも、どこ行ったか知ってるか?」
「ちょっとでてくる、っていって、かえってこない」
「ふぅん……」
また師匠に無茶ぶりでもされたんかね。
ちょこまかと走り回るルーナを愛でつつ、俺は買い漁ってきた日用品の整理を始めた。
最後に更新したのが4月でもう少しで半年になるとか笑うしかない。
先ほど、ふっとネタが降りてきたので20分程度で書き上げた小ネタ程度のssでも。
登場人物はまりも、ルーナ、そしておまけで聖夜です。
『「こがねいろのせんりつ」のにちじょー』ss
「まりも」
「なぁに?」
ベッドでごろごろしながらファッション雑誌を捲っていたまりもは、その手を止めてルーナへと視線を向ける。
「ひこうきってどうやってとんでるの?」
「え?」
「ひこうきって、どうやってとんでるの?」
「……ん、ん~?」
不意を突いた質問がまた来た、とまりもは思った。
リナリー・エヴァンスが長を務める『黄金色の旋律』における貴重な薬剤師であり、かつ大人びた性格をしているものの、ルーナはまだ少女だ。どんなものにでも興味を持つお年頃なのである。
いつもならリナリーや聖夜、栞、そして共に行動をしているタイミングであればヴェロニカに放り投げるところだが、生憎と今は2人っきりだ。
見ればルーナの後ろ、ホテルのテレビが映しているのは『機内のサービスについて』であり、フライトアテンダントがにこやかにインタビューを受けている。
余計なものを映しやがって、と思わなくもないまりもだったが、今はこの状況を切り抜ける方が重要だった。
まりもは飛行機がどうやって飛んでいるかなんて知らない。車だって電車だって、便利な乗り物だという認識を持ってはいるが、その構造にまで興味を持っていないからだ。
ルーナはそれはもう注意深く凝視してみれば若干というか微妙というかとにかくささやかながらきらきらした目で回答を待っている。
ここで「分からない」と素直に答えられるほど、まりもの神経も図太くなかった。
「え、え~と。ね、ねえ、ルーナちゃん。走り幅跳びって知ってる?」
「ん。スポーツ」
「そうそう。あれってなんで助走をつけるかは分かる? というか、助走って知ってる?」
「しってる。じょそうつけると、とおくへとべる」
「そうそう。飛行機も同じだよ。助走をつけてるから遠くへ飛べるんだよ~」
純度100パーセント嘘である。
当然、まりもだってこれで騙せるとは思っていない。むしろ、「そんなわけない。まりも、うそつき。しらないんだ」と冷たい言葉を投げかけられることで話を丸め込むつもりでいた。
しかし。
「じゃあ、にんげんもおなじだけじょそうをつければとべるの?」
こんな質問が返ってきてしまった。
「えっ」
「にんげんもおなじだけじょそうをつければとべるの?」
まりもは自らの完璧なる計画が脆くも崩れ去ったことを自覚した。しかし、今更「それは嘘だよ~」とは言い出せない。なぜなら、ルーナはそれはもう注意深く凝視してみれば若干というか微妙というかとにかくささやかながらきらきらした目で回答を待っているのだ。
「そ、そう、……だよ」
まりもは視線を外しながらそう答えた。
☆
「あん? なにやってんだ、ルーナ」
ホテルに戻ってきてみれば、ルーナが室内を縦横無尽に駆け回っていた。
「あ、せーや」
ててて、と寄ってくる。空調が効いているにも拘わらず、ルーナの額には汗がにじんでいた。呼吸も荒い。本当になにしてんだこいつ。
「まだ、とべない。せーやはとべる?」
跳ぶ?
「まあ、時と場合によるが、跳べるな」
座標さえ固定できれば一瞬だ。今更俺の無系統魔法がどうかしたのだろうか。
「……さすが、せーや。わたしも、がんばる」
ぐっ、と握りこぶしを作るルーナ。
「お、おう。がんばれ」
何を頑張るのかは知らんけど。
……あれ?
部屋を見渡してみてもまりもの姿が見当たらない。
再び走り出したルーナに聞いてみる。
「ルーナ。まりも、どこ行ったか知ってるか?」
「ちょっとでてくる、っていって、かえってこない」
「ふぅん……」
また師匠に無茶ぶりでもされたんかね。
ちょこまかと走り回るルーナを愛でつつ、俺は買い漁ってきた日用品の整理を始めた。
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